本屋さんごっこ

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見るこういう形のSFもあることに、新鮮な感動。

近未来、医学の進歩によって自閉症は幼児のうちに治療すればなおるようになっていた。35歳のルウは、治療法が確立される前に大人になってしまった最後の世代の自閉症者だ。自閉症者のグループを雇っている製薬会社に勤め、趣味のフェンシングを楽しむ日々。だが、会社は、新しい自閉症治療の実験台になれと言ってきた。ルウは、治療が成功してふつうになったら、いまの自分が自分ではなくなってしまうのではないかと悩む。…光がどんなに速く進んでもその先にはかならず闇がある。だから、暗闇のほうが光よりも速く進むはず。そう信じているルウの運命は?自閉症者ルウの視点から見た世界の光と闇を鮮やかに描く。

2004年ネビュラ賞受賞

くらやみの速さはどれくらいくらやみの速さはどれくらい エリザベス ムーン (Elizabeth Moon)(著) 小尾 芙佐(訳)
早川書房 2004-10 単行本

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著者は、実際に自閉症の子供がいるそうだ。それだから、自閉症者からの視点をこれだけ描けるのだろう。そこにはへたな感傷や障害者賛美や嘘臭さはない。

医学の発達や様々な人間の不思議が解明されることで、遺伝子レベルでの治療や、再生治療など、今まで不可能とされてきた治療ができるようになってきている。しかし、それ故に、治すことと生命を操作することの境界線があいまいになってきているように思う。
これまで、治療不可能な病や障害などの負の状態を受容するために、たとえばそれは自分らしさの個性だと受けとめてきたことも、それが希望により治せる・健常者と同じ機能を獲得できるようになったとき、果たして自分らしさを護るために負の状態を選ぶか。それとも、負の状態を前提として築き上げてきた自分らしさを捨て、新たな自分になることを選ぶだろうか。また、永年、自分の人生から離れることのなかった負の状態を脱ぎ去ったとき、自分らしさはどのように継承され、あるいは変形していくのだろうか。そんなことを考えさせられるSFだ。
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